京都鴨川(三条〜四条間)にフランス風の橋を建設することの是非

 昨年、フランスのシアク大統領来日の際、桝本京都市長との間で、フランス風の歩行者専用橋を、京都の鴨川・三条〜四条間に建設することで合意し、「国際取り決め」として早くも来年早々にも着工される見通しだ。しかし、それでいいのだろうか?

遂に1998年8月6日、京都市はフランス風の橋の建設を白紙撤回することを表明しました!!


みなさまのご意見、大募集です。そして大公開中です。
ついでにアンケート結果公表中

1,京都・鴨川の建設予定地の現状

 私は、@橋の必要性と、@を肯定する場合のAフランス風である必要性、の2段階に分けて論じるのが合理的だと考えます。
 まず、@を考えるためには、建設予定地の現状を皆さんに知ってもらわねばならないでしょう。これについてもあくまで私見にすぎませんが。

 建設予定地は京都の中心部です。京都は駅の周りは寂しくて(最近駅ビルが新しくなって「2極化か」とも言われていますが)、四条河原町という交差点を中心にお店が建ち並んでいます。そしてその中心部のすぐ東側に川があり、その更に東側に祇園がある訳です。

 さて、まず現在ある、予定地の北と南の橋(三条大橋と四条大橋)との距離から見てみましょう。その間550メートルです。10分もかからずに歩ける間隔です。

 そして、その三条大橋の東側に京阪電鉄の三条駅、四条大橋の東側に同四条駅、西側に阪急河原町駅がありますが、間には交通機関の駅はありません(必要性が乏しい)。

 あえて必要な時を考えると、川の西側(先斗町という飲食店街)から最短距離で祇園に抜けられるということ位です。

2,フランス風である必要性

 しかし、まあ100歩譲って橋が必要だとしても、予定地は京都の中心、マクドですら景観に配慮している(らしい)場所なのに、どうして和風ではなく、フランス風なのでしょうか。

 確かに京都の伝統とは、常に新しいものを取り込むことで発展してきたと言えると思います。しかし、それはその時々で見事に周囲と調和を図りながら取り入れてきたのではないでしょうか。そして、現京都市も、駅の南北に分けて、南では近代的な開発、北では歴史的文化の保護に重点を置いて考えているそうです。つまり、京都駅の北側である予定地は、従来の文化を守ることが優先されてよい筈なのです。

 また、当然フランス風の橋があれば、現在の三条大橋からの景観が破壊されます。たとえ橋の1本であっても一回環境が失われると取り返しのつかないことになってしまうのではないでしょうか。

3,手続きの問題

 また、京都市は今回の建設を異常に早いスピードで決定し、着工しようとしています。今回のような大問題は慎重に議論すべきです。

 また、京都市の会議で22人の委員中15人が賛成したからといって、あるいは、京都市の公告縦覧で約7割の市民が理解を示したといっても(そのような場所に行く市民が必ずしも世論を反映していない)「7割の市民が賛成」したことにはならない筈なのに、市長は民主的決定を強調しています。本当にそうでしょうか。

 問題のフランスでも、芸術橋を作るときは8年もの歳月をかけて、アセスメントをしたと聞いています。フランスでもない所にフランスの橋を作るなら、少なくともその程度の調査は必要でしょう。

 地方自治法に基づく条例請求等を通じて、市民の手で食い止める必要がある気がします。

4,結論

 @橋は必要ないだろうし、Aあるとしてもフランス風である必要はなく、Bもっと慎重に決定すべきだった、と言えるでしょう。

 本学ではこの問題に取り組んでいる団体等の情報も欲しています。また、特に署名活動を行っているらしい団体が知りたいです。知っている方はご一報願います。


5,リンク

高柳氏のご協力により、関連ページのリンクを貼ることが出来ました。有り難うございました。


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