University of California, Los Angeles
School of Law

2 UCLA, School of LawにおけるLLMプログラムの位置づけ

(1)LLMプログラムとJDプログラム

 現在、ほぼ全ての上位ロースクールにおいて、LLMプログラムが存在するようになった。
 通常、米国のロースクールでは、JDプログラムという3年制のプログラムが行われており、これを修了すれば、殆どの州における米国の司法試験受験資格が与えられる仕組みになっている。LLMプログラムは、これに対し、1年制のプログラムであり、これを修了しても、それのみで米国の各州の司法試験受験資格が与えられるものではない。
 LLMプログラムも、米国人を主たる対象とする、特定の法律分野に限定したプログラムと、外国人を主たる対象とする、特に専攻できる分野を制限しない(従って、本人の興味に従って原則としてどんな科目でも選ぶことができる)プログラムと、2種類存在している。前者は、Taxや知的財産に絞ったものが多い。UCLAに存在するLLMプログラムは、後者である。

(2)UCLAのLLMプログラム

 UCLAのLLMプログラムは、前述のとおり、外国人向けの、特に専攻等が定められていない1年間のコースである。取得すべき単位数は20単位を最低とする。
なお、20単位に加え、論文の提出もRequirementとされているようである(「ようである」というのは、米国流の曖昧さで、これを確信するに足る公式文書を見たことがないからそのように記載したものである。全く米国という国はいい加減な国だ。)。但し、2005年度より、論文の提出に変えて、LLMセミナーとは別のゼミナールに出席し、そこで発表を行えば、論文の代わりになるということになったようである(これも公式の文書を見たことがないので何ともいえない)。このように変更した理由は、UCLAのSchool of Lawも、もっと多くのLLM学生を受け入れたいという意向があるから、らしい。

 前述したが、LLMの学生は自由に授業選択ができるが、1つだけ、LLM生のためのSeminarは受けねばいけない。半期3単位である(昨年までは全期で3単位だったと聞いていたが、今年から変わったようである)。なお、この授業は木曜日の午後5時から、すなわち、「週末」の最後を締めくくる形で行われる(金曜日は通常授業がないため、木曜日が「週末」である)。なお、このLLMセミナーにおいても、別途20頁程度のやや短い論文を書くことが求められる。短期間の、しかも前期という不慣れなうちに書かねばならないのは多少つらいが、無事終わってくれることを祈るばかりである。

 これも前述したように、従前UCLAはLLMが小さかった。僅か10名強を採るのみであった。今年から拡大させたい意向があったが、今年は十分には学生を採用出来なかった模様である。今年の学生数は24名で、内訳は、日本人2名、中国人(本省人)3名、韓国人4名、台湾人4名、ベルギー人2名、スイス人2名、インド人2名、オランダ人1名、イスラエル人1名、メキシコ人1名、タイ人1名、ペルー人1名である。インドを含むアジアで16名、イスラエルを含むヨーロッパで6名、アメリカ大陸から2名という内訳は、西海岸を反映しているが、日本人からすれば、日本人の比率が低いので、勉強としては大変良い環境ではないかと思う。日本人のクラスメイトと会話する時でも英語を使わざるを得ない位が、丁度良いと感じる。

 なお、24人中、既に母国で弁護士等勤務経験がある者が多いが、中には学生で即やってきている人もいる(UCLAに来る前は、ここは学者向けだと勝手に思いこんでいたが、そうでもなかった)。また、男女比は、男性11:女性13である。確かDeanも言っていたと思うが、UCLAは男女比を半々くらいにすることには少し神経を使っているようである(従って、日本人のロースクール留学は女性の方が少ないので、女性の方が合格しやすいのではないだろうか)。ちなみに、私の知る限り、LLMの学生以外にも、イスラエル人と韓国人がVisiting Scholarとしてやってきている。

 ※追記(2007年4月1日)。2006年のLLMは、ほぼ規模が倍増し、またアメリカ人のLLM生も初めて採用された。今後ともUCLAのLLMは拡大傾向が続くものと思われます。少人数が崩れてしまうことについては、一抹の寂しさもありますが、多くの人がULCAのロースクールを満喫できること自体は良いことだと思います。これに伴い、出願数もかなり増えてきているそうです。

 LLMセミナー以外の授業は、JDの学生が取っているものと同じものに出席するので、時に大変しんどい。私の出席している授業でいえば、特に会社倒産法(248 Business Bankruptcy)はDemandingである。ただ、日本の倒産実務を経験している者としては、大変面白い。

 授業は、毎年開講されているものと、そうではないものがある。UCLAに限らず、基本的にJDの学生のことを中心に考えて授業が組まれると思うので、必ず、特定の教科を選択したい希望があるなら、入学前に当該教科が自分の入学年度に開講されるか否かはチェックすべきである(一般的な授業は大丈夫だと思うが、専門的な授業は本当に気を付けねばならない。)。これが簡単ではないと思うが、声を大にしないと損をするのは自分である。私の場合、商標の授業が本年度はなかったのが大変残念であった。

(3)大学は親切か?

 これは、残念ながらNoである。うちのLLMには、2名ほど他の大学のLLMを経験して来ている者がいたが、いずれも私立のLLMを経験しているからだからか、Totally differentと言っている。対応は悪いと思う。今年も、授業が始まってから保険制度が切り替えられたり、学費の訂正があったりした。ただまあ、それが大学の本質ではないと思うので、我慢することにしている。また、私を含め何名かの不平分子は、微力ながら、多少はマシにすべく色々考えているので、これが反映されれば少しはマシになるかもしれない。

  文責 藤本一郎 2005年10月17日

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