事業再建の基礎

はじめに
2008年8月30日
藤  本  一  郎
弁護士(資格:日本、カリフォルニア州、ニューヨーク州)




 日本の景気が急速に悪くなっているのを弁護士として実感している。

 特にサブプライム問題は我が国のファイナンスや不動産に大きな影響を与えたと思われるが、これに建築基準法の改正に伴う様々な手続変更の混乱による着工の遅れなどが相俟って、不動産に関係する業界は、厳しい。今年最大の倒産がアーバンコーコレーションというディベロッパーの民事再生であるというのも頷ける。

 景気が悪い中で、我々弁護士は景気を良くする力にはなれない。
 しかし、個々の企業が、「選択と集中」をする際の手法として、こんなものがある、ということについて多少の助言をすることができる。

 本稿では、そのように事業が悪くなった際に、どのような法的手法によって、違った事業展開をすることができるのか、その基本的な点を確認していきたい。

1 倒産手続とは何か?
 最初に、倒産手続を活用することについて、少し説明したい。

倒産の種類

 現在の我が国には4つの法的倒産手続が存在している。
 会社更生(会社更生法に基づく)・民事再生(民事再生法に基づく)・破産(破産法に基づく)・特別清算(会社法に基づく)である。

 この4つは、2つの軸、すなわち、(i)再建型か清算型か、(ii)債務者主導の手続か、管財人主導の手続か、という軸である。
 再建型清算型
債務者主導民事再生特別清算
管財人主導会社更生破産

 清算型手続である特別清算と破産は、いずれも、倒産後に会社を解散・清算することを目的とする手続であって、事業を継続することは前提としていない(もっとも一時的に事業を行うことは可能である)。他方、再建型手続である民事再生と会社更生は、倒産しても引き続き事業を継続する。悪い膿を出すが、良い部分は事業として残そうという考えである。但し、実際は再建手続に際し事業をスポンサー企業側に譲渡する結果、再生会社や更生会社自身は解散・清算となることも少なくない。しかしその場合でも、会社は解散・清算となっても事業が別会社として立派に生き残ったとすれば、事業価値を倒産手続(会社更生又は民事再生)によって守ることができた、といえるであろう。

 他方、債務者主導型の手続では、倒産したにもかかわらず、引き続き債務者本人が、または債務者が選んだ清算人(特別清算の場合)が、その会社を経営していく。特に民事再生の場合、特定の経営者個人のカリスマや能力で事業が持っているという場合も少なくなく、倒産したとしても、その経営者がそのまま事業を担ってくれなければ、事業価値が大きく毀損するという場合もあり得る。これに対し、管財人主導型の手続では、従前の経営者は代表権限を失い、管財人が会社を代表することとなる。管財人は裁判所が選ぶ弁護士となることが殆どである。


再建型倒産手続である民事再生と会社更生の異同

 民事再生と会社更生は同じ再建型手続であるが、いくつか相違点がある。

 第1に、前述のように、再生は原則として債務者主導、更生は原則として管財人主導である。管財人主導であるということは、原則的には従前の取締役は権限がなくなるということである(更生72条1項等)。


 第2に、巻き込む関係者の違いがある。

 先に会社更生について述べると、一般債権者(無担保債権者)のみならず、担保権者や株主・役員まで手続に拘束される。すなわち、開始決定日前日までの一般債権者は更生債権を有するのみとなり、同じく担保権者は更生担保権を有するのみとなり、いずれも、更生計画における権利の変更を受ける(更生167条1項)。例えば、担保権者であっても、多数決によって権利の変更が強要され(更生199条5項2号)、かつ、変更後の権利については更生計画に基づく分割払いを強要される。株主についても、更生計画における権利の変更を受ける(更生167条1項等)ほか、そもそも債権者に対し100%弁済するだけの資産が会社にない場合は、更生計画案に対する決議の議決権を有しない(更生166条2項)ため、実質的に株主は権利を失うことになる。更に、上述のとおり管財人の選任により取締役は実質的な権力を失うが、のみならず更生計画で取締役の選任が当然に予定され(更生167条1項)、原則として取締役は変更されることが予定されている。

 他方、再生の場合、一般債権者のみ手続に拘束される。再生計画とは、一般債権者の権利変更のみを意味するため、担保権者(別除権者)とは、任意の協議を締結して、リスケしなければならない。また、株主の権利や役員は再生計画では変更を予定していない(民再154条1項。これと更生167条1項を比較せよ)。


 第3に、使える対象も違う。

 会社更生は、「会社」の更生であるが、株式会社しか申立できない(更生1条、2条1項)。他方、民事再生は、「債務者」の再生であり(民再1条、2条1号)、株式会社以外の会社が使えるほか、学校法人や医療法人など、会社ではない法人、更には個人も申立が可能である。


 外にも様々な相違があるが、以上の3点から言えることは次の通りである。

 まず、株式会社以外は会社更生につき検討の余地がないので、再建型の法的倒産手続を考えるには民事再生しかない。

 株式会社であれば両方可能性を探ることができるが、会社更生であれば、株主の権利がなくなり、また、役員も交代となることが予想され、裁判所の選任する管財人主導であるから管財人や裁判所の意向で再建が進められることとなるが、その代わり、担保権者も巻き込むので、強力な再建を行うことが可能となる。

 民事再生の場合は、株主や役員は原則としてはそのままであるから、ある程度従前の経営者や株主の意向を汲む再建を行うことが可能となる。会社更生が上場会社など大規模な会社を想定し、民事再生が社長個人の力量が問われるような中小の会社を想定していると呼ばれる所以である。

 これは費用にも現れる。会社更生であれば、申立代理人弁護士に報酬を払って申立をするが、管財人の選任が予定されているから、予納金もそれなりに高額となる。更に、管財人の報酬はその会社の財産から支払われるから、全体として高コストとなる。民事再生は、裁判所が監督委員を選任するための報酬のため、予納金を支払うことが要請されるが、監督委員は管財人と違って会社を運営したりはしないので、予納金も少しお安くなるのが通常である。申立代理人の報酬は、会社更生の場合と異なり、最後までお付き合いしなければならない分、やや高額となるが、それでも全体的なコストは会社更生ほどにはならない。


 要するに会社更生の方が色々と大がかりな分、強力、但し従前の株主や取締役の自由はない(権利を失う)、民事再生の方が小回りが利く分、会社更生ほど強力ではないが、従前の株主や取締役に一定の自由が残る、と認識しておけば、大きなところでは間違いがない。

 なお、破産や特別清算は「清算型」であるから、事業再建とは関係ないと思われるかもしれない。
 しかし、いま存在している法人は破産等により「清算」するとしても、事業譲渡等の手段により、一部他社に移す等で事業再建するというやり方だってあり得る。特に、破産は管財人が主導するので融通は利かないが、特別清算の場合、裁判所の監督はあるが、債務者側の人間が「清算人」となって会社を代表することができるので、民事再生に近いような運用をすることも、場合によっては可能となる。私自身も、特別清算における事業譲渡を行ったことがあるが、これによって、小規模ながら事業を維持するということに成功している。


 以上が事業再建との関係で整理した法的倒産の種類であった。

 これに、合併、会社分割や事業譲渡といった会社法上の組織再編を組み合わせることで、倒産のイメージで失墜した会社に対する信用を、新しいスポンサーのブランドのもとで回復し、かつ、既存の事業のうち価値の高い部分をその新しいスポンサーのもとで維持・発展させることが可能となる。

2 何故弁護士が必要か?
倒産のタイミングと弁護士の役割

 このように倒産法には目的に応じた4つの手続がある。

 しかし、いずれにせよ法的倒産を行ってしまえば、一定の債権について「帳消し」にできる反面、「信用の失墜」が発生する。これは、取引先に対しかなり悪いイメージを与えてしまう。
 従って、倒産手続を回避してでも会社が再建するのであればそれに越したことはない。法的整理に至るまえに私的整理で解決させることができれば、それが望ましい場合も多い。もっとも金融機関が私的整理に応じてくれるかどうかはなかなかシビアな交渉となる。この時点で弁護士が介入することが望ましい。

 他方、倒産手続をやらずにずるずると経営がより悪化すれば、再建型倒産手続をやりたくても、やれないという事態に陥る。

 即ち、資金が持たないのである。民事再生を申し立てることを想定すると、申立時に弁護士着手金と裁判所への予納金を支払う。これで終わりではない。申立によって、既存の債権者には、債権を支払わない、ということを通告するのであるから、今まで掛けで買えていたものが全て現金払いになる(または全て現金払いにならないにしても、極めて短期のサイトで支払わなければならなくなる)ことになる。つまり、既存の債務の支払からは一時的に免れられ、かつ、相当程度免除を受けることができるものの、将来の費用については、少なくとも当面は同時引き替え的に買わなければならないから、資金繰り的には、かえってタイトになることもある。

 資金繰りがきちんと読めなければ民事再生や会社更生はできないのである。

 従って、法的倒産を使った事業再建は、タイミングが極めて重要になる。
 これは、通常の会社の資金繰り見込みとは全く異なる。倒産に通じた弁護士が早期に相談に乗らなかった場合、本当なら民事再生ができた筈の会社を、みすみす破産させてしまって事業を消失させることになりかねない

 従って、スピード感も大事である。相談があって2日後には申立ができるような準備が、時に必要になる。このようなスピード感は、倒産に通じた弁護士でなければ実現できないだろう。

 他方、弁護士は事業の専門家ではなく経営者ではない。経営だけなら従前の経営者の方が知っている。

 しかし倒産に慣れた弁護士には独自の人脈がある。すなわち、倒産手続きでは、例えばスポンサー型の再建の場合、会社の事業を高く第三者に売ることでよりよい再建を目指すことが求められるが、スポンサーをどうやって見つけるかが重要な問題となるが、その際、倒産に慣れた弁護士であれば、独自の人脈でより早く、より広範囲にスポンサー候補を募ることが可能となる。但し、中小企業の場合は、そもそもなかなか買い手がつかない可能性もあるが・・・。

 

3 典型的な民事再生手続の流れ
 それでは、比較的事件数も多い民事再生に絞って、仮想の会社(株式会社藤本大学)の再建手続を追うことで、手続の流れを追ってみよう。

★年3月31日 申立,監督命令

 平成★年3月31日、株式会社藤本大学(再生債務者と呼ばれる)は、○○地方裁判所に対し、民事再生手続開始の申立を行い,受理された(事件番号:○○地裁平成★年(再)第○○号)。

 申立代理人は、弁護士の藤本一郎。監督委員は,○○地裁より★★★★弁護士が任命された。

 申立時に、再生債務者は予納金を裁判所に支払う。予納金は負債総額と債権者数によって決まることが多い。例えば株式会社藤本大学は負債総額が70億程度、債権者が100名であったので、○○地裁は予納金を800万円と定めた。事案や裁判所にもよるが、負債50〜100億円程度であれば、700〜900万円程度となるのではないかと思われる。

 同日,再生手続開始前の保全処分として,再生債務者は,平成★年3月30日までの原因に基づいて生じた債務については,(債務総額10万円以下の債務など一部の例外を除き)原則として弁済が禁じられた。

 株式会社藤本大学は、3月末の支払ができず民事再生を申立て、3月末の支払をしなかったことにより手元資金はあるものの、民事再生申立によって、今までのような掛け払いをすることができなくなる。

 手形取引は全てストップし、大口の仕入先については、1ヶ月に2回の締め日を設けて、その締め日に弁済するという短期の買掛をするということになり、小口の仕入先については、現金払いすることになる。

 そのため、日々の現金払いで今までとは違う資金繰りを組む必要があった。売掛の入るサイトは一部の取引先を除き今まで通りであるが、申立による信用毀損から売上の減少が発生することも見込まなければならない。不採算部門のリストラのタイミングも、退職金の発生等の関係で重要となる。当面の資金繰り、特に申立後数ヶ月は意外とタイトである。しかしその予測ができなければ、再生の見込みはない。会社の経理担当を中心に、代理人弁護士の助言もあり、申立直前に多くの資料を収集して、日繰りの資金繰表を作成。なんとか申立書に添付する資料の1つとすることができた。

★年4月14日 開始決定

 監督委員は、申立のあった事件を調査し、開始決定に関する意見を裁判所に提出する。

 裁判所は、その意見を参考にして、開始決定をするか否かを判断する。

 4月1日に申立があった事件の開始決定がいつになるかは、裁判所にもよるし、申立前に裁判所と事前折衝を詰めていたかにもよる(申立代理人弁護士の腕も問われる)。開始決定が出なければ信用失墜は特に進むので、早急な開始決定は不可欠である。大阪地裁の場合、まず1〜2週間で開始決定にこぎつけるのが通常であろう。地方だと長くかかることがある。

 ○○地裁は、株式会社藤本大学の開始決定を4月14日に行った。

 開始決定により、今まで取引が一部停止していた取引先との取引も再開し、事業の毀損もある程度見込みがつき始める。

★年5月9日 債権届出期限

 株式会社藤本大学に対する一般の債権者は、○○地方裁判所に対し、開始決定後、定められた期限内に債権届を提出する。なお、債権届を期限までにしなければ権利が失効する可能性がある。また、債権届の用紙は、通常裁判所から開始決定後1週間以内に送られてくるものの、送られてこなかった場合は、再生債務者の代理人弁護士などに問い合わせをして送付して貰うようにすべきである。また、独自の書式で債権届をすることも妨げられない。

 債権届の提出期限は、開始決定と同時に定められるから、債権者も、開始決定の写しを入手して、確認すべきである。この期限は、開始決定より4週間以内となることが多いが,再生規則18条1項1号では開始決定後最短2週間、最長4ヶ月とすることも可能である。この時,債権額のみならず,その内容・原因等詳細を届け出しなければならない(民再94条)。

 ○○地方裁判所は、開始決定と同時に、株式会社藤本大学について、債権届出の期限を5月9日と定めた。

 裁判所書記官は,届出債権について,再生債務者の認否の結果に基づき再生債権者表を作成する(同99条1項)。

★年5月30日 認否書提出期限

 認否書とは、債権者からあった債権届出について、再生債務者が認めるかどうか記載した書面である。なお、届出がないが、自ら再生債権があると認める債権(自認債権)の記載も可能である(101条3項)。  ○○地方裁判所は、開始決定と同時に、株式会社藤本大学について、再生債権の認否書の提出期限を5月30日と定めた。

★年6月6日から6月19日 再生債権の一般調査

 債権者は,「一般調査期間」と呼ばれる期間(債権届出期間の末尾より1週間以上2か月以内の期間を置き,1〜3週間,民再規則18条1項2号)に,債権届出の内容と再生債務者の認否を調査することができる。他の債権者の債権届出に異議を唱えることもできる(民再102条1項)。

 ○○地方裁判所は、開始決定と同時に、株式会社藤本大学について、一般調査期日を6月6日から6月20日までの2週間と定めた。

★年6月19日〜7月18日 再生債権の査定

 再生債務者又は債権者が,ある再生債権について異議を申立る場合,内容を確定するために,その異議を申立られた債権者は,査定の申立をしなければならない(民再105条1項)。この申立は,上記4の調査期間の末日から1か月以内に限り行うことができる(同条2項)。

 従って、株式会社藤本大学については、6月19日から7月18日の間に、査定申立を行うことができるということになる。

★年5月30日 財産評定等提出期限

 再生債務者は,開始決定時の一切の財産につき価額を評定する。財産目録と貸借対照表を作成し,裁判所に提出する(民再125条)。同時に,様々な事項について裁判所に報告する(民再126条)。概ね,開始決定の時から2か月以内にこれらの財産評定等の報告を行う。

 ○○地方裁判所は、開始決定と同時に、株式会社藤本大学について、法125条・126条報告書の提出期限を5月30日と定めた。

★年6月30日 再生計画案提出期限

 上述の手続を経て確定した再生債権と,上述の報告書を基礎として,再生債務者は再生計画案を策定し,開始決定時に定められた期限内に裁判所に提出する。概ね,開始決定の時から3か月前後をもって,裁判所は再生計画を債権者の決議に付する旨の決定を行う(民再169条)。

 ただし,再生債務者は,上記期間の定めにかかわらず,債権届出期間の満了前に再生計画案を事前提出することも可能である(民再164条)。

 ○○地方裁判所は、開始決定と同時に、株式会社藤本大学について、6月30日を再生計画の提出期限と定めた。

★年8月29日 債権者集会(または書面投票)

 再生計画案は、裁判所の所定の審査を経て「付議」される。付議された再生計画案については、再生債権者による決議が行われる。かかる決議は,債権者集会が開催される場合は,その集会での議決により,書面投票による場合は,裁判所の定める期間内に書面投票により行われる。議決権は,原則として確定債権額である。

 再生計画案につき,議決権の総額の過半数,かつ債権者数の過半数の同意を得た場合,再生計画案は可決される(民再172条の3)。

 ○○地方裁判所は、株式会社藤本大学の再生計画案を検討した後、7月14日、再生債務者提出の再生計画案を付議することとして、債権者集会を8月29日として指定した。そして、再生計画案は、債権者数の過半数かつ債権額の過半額の賛同を経て、決議された。

★年9月27日 再生計画の認可確定

 可決後,裁判所は再生計画の適法性等を審査し,問題がなければ認可する(民再174条)。認可は裁判所の決定であり、債権者等は即時抗告をすることができる。認可の官報公告から2週間が経過すると認可確定する。認可確定すると,再生計画に定めた権利の変更の効力が生じる(民再176条)。再生計画により減免された債権は勿論,記載のなかった再生債権についても,この確定により免除される(民再178条)。

 株式会社藤本大学は、平成★年8月29日、すなわち債権者集会において再生計画案が決議された同日に再生計画につき認可決定を得た。その後、官報に掲載され、9月27日、官報掲載から2週間が経過して、即時抗告等がなかったので、認可が確定した。

★年10月20日 弁済

 確定後,再生計画に従って再生債務者は債務の免除を受け、また免除されなかった部分について弁済を行う。

 弁済は一括弁済でも分割弁済でも可能であるが、分割とする場合は認可決定の確定から原則10年以内に払い終えるものとする(民再155条3項)。

 株式会社藤本大学の再生計画では、弁済日を「再生計画認可決定が確定した日から2か月を経過しない日で再生債務者が任意に選択する日。」と定め、また「再生債務者は,再生債権者より,再生手続開始決定後の利息・遅延損害金の全額,及び再生債権元本およびのうち下記(2)に定める弁済額を控除した残額全部につき,下記(2)ウに定める弁済日に全額免除を受ける。」との条項があった。

 そこで、9月27日に認可確定したことから、10月20日に弁済(2ヶ月以内)を行い、この弁済日に、弁済額以外について、再生債権の免除を得た。

 このような形で、債権者の債権者集会における再生計画に対する賛同とその確定、そして再生計画の履行により、過去の未払債権が減り、株式会社藤本大学は、再建を果たした、ということになる。申立から約6ヶ月強で、少なくとも貸借対照表上は大きく負債が減り、あとは、本業がきちんと強固なものであれば、過去の負債に縛られずに、事業を維持発展させることが可能となる。

4 結語
 民事再生をはじめとした法的な事業再建については、リスクも伴うので、行うか、行わないか、行うとしてどのようにするかについて、極めて微妙な判断を求められる。そして、資金繰りの重要性に鑑みれば、事業を毀損させないためにも、早期に専門家と相談していかなければならない。

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