California州司法試験 受験体験記

はじめに
2007年5月25日
藤 本 一 郎




※本稿は、いまだ移転途上にある"FUJIMOTOICHIRO.COM"上に設置されています。「藤本大学」はいまだ上記「旧藤本大学」に存在しておりますので、大半のリンクが正常に作動しません。ご迷惑をお掛けしますが宜しくお願いします。

『お前、そんな試験受けることが好きなんか?』
『カリフォルニア州の司法試験受けることにどんな意味があるねん?』

 なーんて聞かれそうであるが、まだニューヨーク州司法試験の勉強で培った?知識が完全に消えてなくなるまえに受験した方が良いと考え、また、縁のあるカリフォルニアに何かつながりを残しておきたいとも思い、2007年2月27日から3月1日にかけて、私は次なるステップとしてカリフォルニア州司法試験を受験した。

 ニューヨーク州司法試験の場合もそうであったが、日本人から見たカリフォルニア州司法試験がどのようなものであるかをできる限り的確に示すことが本稿の目的である。もし、今後米国の法科大学院(Law School)留学を検討される方やBar Examを受験される方の参考になるならと思いここに掲載した次第である。

1 試験の概観
 カリフォルニア州司法試験は、「米国で最も難しい資格試験」といっても過言ではない試験である。

 日本人が受験する米国の司法試験としては、ニューヨーク州司法試験が有名だが、こちらが合格率60〜70%前後、試験も2日間なのに対し、カリフォルニアは合格率40〜50%前後(直近のCalifornia州司法試験の合格率は、36%(2007/2), 52%(2006/7)、40%(2005/2), 49%(2005/7)である(ソースはCALBARのWebsite))。試験も3日間行われる。

 試験内容を見ても、カリフォルニア州の場合は、配点35%がMBEと呼ばれる全米共通の択一式試験(200問)であるが、残り65%はEssay6問(3問が3時間の枠で行われる)とPractical Test (PT)2問(1問が3時間の枠で行われる)である。なお、Essayは65%のうちの6割の配点、PTは65%のうちの4割の配点である。

 PTは、全州共通試験のMPT(Multi-state Practical Test)の起源となった試験であり、いわゆる科目試験ではない。与えられた資料をもとに、分析して起案する能力を問われている。適用する判例や条文も与えられて、特定の実務の場面を想定しているので、日本に照らせば、やや2回試験に近いといっていい(私はきちんとやったことがないので何とも言えないが、近時の日本の新司法試験は、学科試験の中で、このような傾向を含む問題があるらしい)。全米のMPTとカリフォルニア州独自のPTの違いは、前者が1時間30分なのに対し、後者は3時間で書くということである。

 採点は2000点満点で行われ、合格点が1440点(72%)である。

 ちなみにスコアの分布表も公表されている。

2 カリフォルニア州司法試験受験資格
 カリフォルニア州弁護士会のサイトをチェックした方が早いと思いますが(詳細については、更にRule II. Section 1.を参照して下さい)、

(1)必要な教育を終える(1年次試験免除資格を含む)

(2)学生出願者(a law student applicant)または弁護士出願者(an attorney applicant)としての登録(registration)をする。

(3)個々の司法試験の出願をする。

(4)別途MPRE(倫理試験)のスコア(79点以上)を取得して点数をカリフォルニア州弁護士会に転送する。

(5)弁護士倫理に関する出願(An application for a moral character determination)をして、司法試験委員会からGood Characterの決定を貰う。

(6)カリフォルニア州裁判所の子供や家族の扶養義務に従うこと

ということが必要です。なお(4)(5)(6)は試験受験時には関係ありません。弁護士登録のときまでに必要な手続です。特に(5)を早くやりすぎると、「期限切れ」になって再出願しなければならなくなりますので注意です。

 ちなみに、(1)必要な教育については、実は弁護士出願者には関係がありません。従って、弁護士がカリフォルニア州司法試験を出願する際は、どこの大学・大学院の成績証明書も要求されません。教育については、学生出願者の場合のみ問題となります。学生出願者の場合、(i) 一般教育として最低2年間短大か大学に行くこと、(ii) 法学教育として、米国弁護士協会(American Bar Association)またはカリフォルニア州司法試験委員会が認定する法科大学院(Law School)を卒業するか、または、それに代わる教育を受けることが必要となります。

 ここで、「それに代わる教育」として、ニューヨーク州司法試験の場合ですと、日本の法学部教育+米国の法科大学院でのプログラム最低1年・20単位以上の修了、ということで充足できるのですが、カリフォルニア州の場合はそうはいきません。ちょっと代わった要件としては、カリフォルニア州弁護士歴5年以上がある弁護士のもとで法律事務所事務員として4年間働けば、法科大学院教育を受けたという要件の代替となる、というものがありますが、通常の日本人留学生ではこれはクリアしないかもしれません。ただ、代替要件は、その組み合わせで証明しても良いので、個別事情によっては教育要件を米国での法科大学院教育なしでクリアすることもあるかもしれません。

 なお、更にカリフォルニア州司法試験を学生出願者として受験する場合は、"First-Year Law Students' Examination"を通る必要があります。但し、これについては、いくつかの免除要件がありますので、実際にこの試験を受験している人は多くはありません。勿論、弁護士出願者として受験する場合は、この"First-Year Students' Examination"も受験の必要がありません。

 なお、弁護士出願の場合でも、他の多くの州と異なり、(3)学科試験そのものの免除はありませんが、もしも米国の他の州で4年以上弁護士経験があれば、いわゆるマーク試験(Multistate Bar Exam(MBE)試験)を受けないで他の試験だけを受験することにより合否を決めて貰うこともできます。日本の弁護士資格でこのMBE免除を受けることはできません(Rule IV. Section 2.)。

 出願費用ですが、まず、学生出願者または弁護士出願者としての登録にお金がいります。私の場合は166ドル(弁護士出願の場合)でした。

 これとは別途司法試験の出願にお金が要ります。これが高い!
 学生出願の場合に、上記とは別途に529ドル、弁護士出願の場合だと769ドルです。更に出願が遅い場合は追加料金として50ドルまたは250ドル取られます。ラップトップコンピュータで受験したい場合の追加料金も119ドル取られます。つまり、ラップトップ受験をする場合、たとえ学生出願者であっても、合計で800ドル程度、弁護士出願の場合は、1000ドルを超えるお金が必要なのです!!!!高すぎ!!でもでも、ちょっと思うのは、日本の司法試験委員会も、これを見習って出願費用を高くして、その分を修習に充てればいいのにねえ・・・。

Social Security Numberに関する注意事項

 ちなみに、弁護士会のホームページでは、ネット出願しか原則として認めていないのですが、このネット出願をするには、Social Security Numberが必要です。2006年よりSSNがなくても出願できるようルール変更があったのですが、その場合はペーパーベースになり、しかもそのペーパーの様式をネット経由では入手できないので、SSNなしで出願をしようと考えておられる方は早急に問い合わせをされることをおすすめします。

3 ラップトップと手書き、どちらで受験する??
 私はニューヨーク州司法試験では手書きで受験したが、カリフォルニアではラップトップ受験を選択した。

 ラップトップ受験とは、自分のPCでEssayやPTを受験する制度のことである。勿論Handwritingで受験しても良いし、その方が安い(ソフトウェアのライセンス料の関係か?)。ニューヨーク州司法試験はHandwritingで受験したのに、カリフォルニアではラップトップ受験とした理由は、第1に、ロサンゼルスに住んでいて、移動が短いので途中PCが壊れてしまうという心配がより少なくなったこと、第2に、カリフォルニア州のEssayやPTは、時間がニューヨーク州司法試験よりも長いためか、模範解答例等を見てもとても長いので、Handwritingで受験したら、みんなの半分も書けないだろうと思ったこと、第3に、ニューヨーク州司法試験でラップトップを選択しても「抽選」で当たれば受けられるが、外れたら受けられないという不安定さがあったが、カリフォルニアの場合、基本的にラップトップに制限がなく、申し込んで落ちたという人を知らなかったこと、第4に、ニューヨーク州司法試験で1日6時間Handwritingしたのでもかなりしんどかったのに、それが2日もあるとなると、多分耐えられないと思ったからである。

 ラップトップ受験を申し込んだ場合は、追加のFeeが必要となる。そして、ソフトをダウンロードして、インストールして、サンプルテストをuploadし、無事自分のPCでdownload/uploadできることを確認する手続を経なければ、受験できない。注意したいのは、この手続をした後は、それと別のコンピュータで受験することができない、ということである。後から別のコンピュータにインストールしようとしても、既に自分のIDを使ってダウンロードしてしまっているので、インストールがうまくいかないのである。これらの設定は、「2月受験」の場合は、2月1日までに済まさねばならない。済まない場合はHandwritingで受験しなければいけない。

 なお、ラップトップ受験で使うソフトウェアは、UCLAの大学の試験で使っていたソフトウェア”SofTest”と呼ばれるものであり、それでなじみがあったので、特に使用に困らなかった。また、カリフォルニア州司法試験のガイドラインによれば、英語版Windowsを使えとの指摘があったが、大学の試験でも日本語版WindowsXPを使って特に不具合がなかったので、そのまま日本語版で受験した。但し、日本語版Windowsの「言語設定」を必ず「英語」にしなければならない。そして、これを一度設定したら、試験が終わるまで「日本語」に戻してはいけない。もし戻すと、全て最初からやり直しになってしまうので、特に試験前1ヶ月の間にこれを変更すると、必要な承認が得られなくなってしまうので、注意して欲しい。

 なお、経験者の話によると、ラップトップコンピュータでの受験様式が2007年2月から変更になっているらしいので、それ以前に受験経験がある人はその変化に注意して欲しい。試験会場にかつてはフロッピーディスクドライブを持ち込んで、フロッピーで試験を提出できたそうであるが、現在は試験終了後に、自分でインターネットで接続して試験ファイルをUploadするのである。これは、試験終了翌日の朝までに済ませれば良い。会場ではインターネットに接続できなくても、試験のためのファイルは事前にDownloadしている訳だし、何も困らない。ちなみに、周囲のホテルでは、各部屋にインターネット接続を提供しているところもある。私が泊まったホテルは無線LANが無料で用意されていたので良かった(ロサンゼルス市内から東へ50マイルだが、渋滞を恐れて宿泊した)。なお、Uploadは、試験で使ったコンピュータ上で行う。

4 試験範囲や勉強対策について
 私の場合、仕事しながらであったので、いかに受験7ヶ月前にニューヨーク州司法試験を受けているとはいえ、絶対的な勉強量が不足していた。

 EssayやPTに高い配点があるので、特にそちらの対策をしっかりしなければならない。

 なお、試験科目は全部で14科目(憲法(Constitution)、契約法(Contracts)、不法行為法(Torts)、不動産法(Real Property)、証拠法(Evidence)、刑事法(Criminal Law)と刑事訴訟法(Criminal Procedure)のMBE試験でも出題される基本7法に加え、民事訴訟法(Civil Procedure)、救済法(Remedies)、弁護士倫理(Professional Responsibility)、夫婦財産法(Community Property)、相続法(Wills)、信託法(Trusts)、会社法(Corporation)が試験範囲であった。

 2007年2月の時点では、上記14科目のうち、弁護士倫理・夫婦財産法・相続法の3科目に限って、カリフォルニア州法の詳細が聞かれ、他の11科目については、原則としてカリフォルニア州法の細部については聞かれないことになっていた。しかし2007年7月の試験からは、新たに民事訴訟法と証拠法においてカリフォルニア州法の内容を問うこととなった。

 ニューヨーク州司法試験との違いを一番感じるのは、この14科目について、カリフォルニア州司法試験では、ほぼ平等に近い割合で、全科目から出題されるということである。日本の旧司法試験で良く見るような憲法の人権の対立があるような問題、ニューヨーク州司法試験ではまず出題されないが、ここでは実際に憲法は良く出題される。なお、カリフォルニア州法の詳細を問わない科目については、仮定のA州とかB州での事件ということで出題される。弁護士倫理については一番細かく聞かれ、カリフォルニア州弁護士倫理規定と、米国弁護士協会(ABA)のModel Rules of Professional Conducts等との相違を問われることが多い。

 なお、平等といったが、ニューヨーク州司法試験との比較でいえば、相続法と信託法、刑事法と刑事訴訟法の出題割合がちょっと低いかなあ、という気がする。カリフォルニア州など全米でも11州でしか存在しない法制度である夫婦財産法の出題確率は高い。

 会社法については、2007年7月の試験から、いわゆるパートナーシップやLLC、代理等についても試験範囲に加えることとなり、科目名もBusiness Associationsに変更される。

 ということで、試験範囲という意味では、思ったほど「ニューヨーク州司法試験から変わるところ」はなかったが、2007年7月からは多少負担が増えることになる。

5 当日の雰囲気について
   私の受験は2007年2月27日〜3月1日までの、いわゆる「2月試験」と呼ばれる方であった。全米いずれの州も、7月と2月の最終週の火曜日・水曜日(と木曜日)に試験をするのである。ちなみに水曜日がMBEと決まっていて、これを殆どの州が採用しているので、残りが各州の「独自設計」になる。カリフォルニアの場合、1日目と3日目の午前中がEssay3問ずつ、午後がPT1問ずつという設計である。

 試験前、時間割がきちんと分かっていたニューヨーク州司法試験と異なり、事前の通知では、初日の集合時間(8時15分集合)しか知らされていなかったので、いささか戸惑った(そういう思いを次の人がしなくても良いように、と思ったのが本稿を起案した理由である)。

 で、その全日程であるが、午前の試験は8時15分までに入場しなければならず(会場は1日目と3日目は7時30分頃から、2日目は8時から入場可能となる。この「時差」はラップトップ試験かどうか・・・設定が必要か・・・ということだと思われる)、試験はおおむね9時からスタートする。「おおむね」と言ったのは、正確に9時を気にしていないようだからである。そうか、試験時間を公にしていないから、そういう取扱いもできるのか、と思ってしまった。なお、試験会場には15分前から入場できる。

 午後の部は、午後1時30分から入場開始、午後1時45分から試験説明開始、おおむね午後2時ころから試験スタートであった。従って試験終了は午後5時である。試験終了の合図から実際に退出できるまでには15分程度を要した。

 各試験のセッション(午前、午後×3日)で配られるのは、1日目と3日目(カリフォルニア独自試験)については、(1)採点のための提出物を入れる透明なビニール袋、(2)採点に使うためのカラーのカバーレターのようなもの(氏名・受験番号・署名が必要となる)、(3)なんかよく分からなかったけど、コンピュータ受験でrebootせず、かつ別にpaperにhandwritingで受験しなかったということを証明?する書面、(4)問題用紙とスクラッチペーパー、である。このほか、初日午前中に、(5)ラップトップ受験は、ラップトップでなんか起こってもExaminerが責任持つっていうこととはちゃいまっせーという用紙(オレンジ色)にサインさせられ、初日午後には、(6)sample handwritingと指紋の提出が要求されました(ちなみに、人差し指って”index”って言うんだねえ、しらんかったよ)。

 他方、MBEについては、ニューヨーク州司法試験と同様に、マークシーと用紙が間に挟まれた問題冊子のみである。ニューヨーク州司法試験と全く同じ様式(まあ、同じ問題だから当然だが)であるが、当然マークする州番号はニューヨークの33ではなくて、カリフォルニアの05である(0は一番下にマークする場所があるので忘れないように)。受験番号は通常カリフォルニアでは4桁のことが多いと思われるが(夏は分からないが冬は4桁だった)、マークシートには5桁書くので、最初に0を付して記入する。ソシアルセキュリティ番号の記載があるが、ソシアルセキュリティカードを持参せよという指示はなかったと思うので、自分のソシアルセキュリティナンバーを確認すべきである(ソシアルセキュリティナンバーがない人は、代わりに付与される番号を記入する)。マークシートの裏面は名前を書くのだが、その下に何行か書く欄がある。ニューヨーク州司法試験では、ここに、”The jurisdiction code for New York State is 33”と書くように指示されるが、カリフォルニアでは、1行目に名前、2行目に生まれた都市と州(これは午前で、午後はここに母親の旧姓を書く)、3行目に署名せよと言われる。なお、ニューヨーク州司法試験ではここに午前は何も書かなかったもののきちんと採点されたので、余り意味はないのではないかとは思う。

 ちなみに、私が受験したのは、カリフォルニア州のオンタリオ(Ontario)という街にあるConvention Centerであった。ここは、ロサンゼルス市内から東に約50マイル行ったところにある。何故ここで試験があるか、最初はよく分からなかったが、なるほど、空港があるので、ホテルがConvention Centerに隣接して沢山あるのがその理由な気がする。ニューヨーク州司法試験をアルバニーで受験したとき、受験会場となったホテルに宿泊できれば良いが、そうではない場合、タクシーを探すのに苦労することがあるが、ここなら、徒歩圏内に沢山ホテルがあって、よさそうである。また、試験会場に車で行って駐車することも可能である。なお、会場外でも、会場北側の道路の南側は駐車可能な道路になっているので、早く行けば利用できるかも知れない。

 受験上での注意事項であるが、ニューヨーク州司法試験と同様、試験会場内に持ち込める物品についてはかなり厳しく制限されている。財布・携帯電話・バックの類は持ち込めない。持ち込めるのは、透明の袋に入れた筆記用具関係や時計(但し一片が4インチまでの大きさのもので、デジタル式ではないもの)等に限られる。ニューヨーク州司法試験との違いは、(1)計算機能がないデジタル式であっても一律に持ち込めないこと(Gショックとかは駄目だろう)、(2)水や食料を持ち込めないこと、であろうか。結局、多くの受験生がカバンに食料等を詰めて持ってきて、会場の外の廊下にカバンを放置して入場する。または、車でやってきて車の中に荷物を置くのである。

 Convention Center内の試験会場はとても大きなホールであった(私はExhibit Aというホールだった)。全ての机に十分なだけのプラグ(コンセント)が準備されているので、ラップトップを使うためのコンセントが足りない!ということにはならないと思う。

 試験会場の机も十分な幅があって、机が狭いとは全く思わなかった。これは私が小さなパソコンを使っているからかもしれないが。また、試験会場のホール自体にトイレがあるので、近い席になれば、余りトイレでの時間ロスを心配しなくて良い。私はたまたまとても近いところだったので、とても助かった。全般に受験環境については、ニューヨーク州司法試験よりも少しマシだと思った。

 そうそう、同僚に前もって聞いておいて役にたったことを1つ。試験会場は、ここカリフォルニアでも、確かに寒い。十分な厚着をしていくに越したことはない。

 試験終了と同時に、広い会場に拍手が鳴り響いた。ニューヨーク州司法試験ではそんな拍手はなかった。なんとなく分かる気がした。

6 合否の傾向と感想
 詳細な自分の点数を知らないから何とも言えないが、弁護士としての実務経験があるモノであれば、3時間をかけて書く"PT"は意外となんとかなる気がした。ニューヨーク州の時の1時間半(MPT)よりは、分量が厚くなるものの、英語ネイティブとの差が小さくなる気がした。米国人でも、書き終えられないことが結構あるみたいだし、ニューヨーク州と違ってPMが2問あるので、ここが頑張りどころだと思った。

 MBEの配点はニューヨーク州より小さいが、しかし35%は、なんだかんだ言って大きい。特にCAの場合、PTの配点が大きいため、学科試験内部(つまりPT以外)のEssayとMBEの点数比という観点で眺めれば、実はMBEの比率は高い訳である。つまり、MBEは、ニューヨーク州と同様か、それ以上に重要ではないかと感じた。なんせ、ニューヨーク州と異なり、Essayの学科試験がほぼ全範囲から均等に出題される傾向があり、また、問題も、時に妙なモノがあるので、予測がしづらいため、確実にMBEで稼いだ方が良いよう思った。

 私は、たまたまCAL BARを一発で合格できたが、しかし日本人の弁護士受験生でも、そう簡単にCAL BARを合格できたとは聞かない。実際、直接面識ある方で一発合格した日本人弁護士はいない(2度目でなら、いる)。ただ、MBEについては、ニューヨーク州司法試験と全く同じな訳でニューヨーク州司法試験の経験が生きてくる。夏にやや易しいニューヨーク州司法試験を受験→冬にカリフォルニア州司法試験を受験、という受け方であれば、なんとか両方合格できるような気もした。


 カリフォルニア州は、ある意味ニューヨーク州よりも日本人に馴染みのある州であるし、実際、日本人・日系人が多数在住している。私も、何らかのカタチで、カリフォルニア州の司法に貢献できたらなあ、と思うし、また、そういう日本人が増えたら面白いのではないか、と思う。本稿がそういうチャレンジをする人の参考になれば幸いである。

Contact | Privacy Policy (c) 1996-2007 Copyright Fujimoto University (FUJIMOTO, Ichiro). 藤本大学正門