北京語言大学と北京生活のご紹介

はじめに
 私は、2007年4月から、北京語言大学という大学に、短期の語学留学をしました。いわゆる純粋な語学留学は初めてで(米国の場合はロースクールに行きましたので)、語学だけをひたすら毎日やる、と言うことに対しては、もともと語学が苦手だったこともあり、強い抵抗感があったのですが、その後上海で仕事をしようと思っていましたので、背に腹はかえられません。渋々行ったのです。

 更に言えば、本当は上海で勉強したかったのですが、どうしても他の日程との関係で、4月に勉強を始めなければなりませんでした。4月にそれなりに沢山のレベルのクラスを開講してくれる大学を私は他に知りません。北京語言大学は、外国人に中国語を教える専門大学ですので、勉強する時間が限られてしまう外国人にも、非常に好都合な大学だと言えるでしょう。

 そんな、なかなか素晴らしい北京語言大学で生活するための最低限の情報を記載してみました。なお、既に他の方のWebsiteですが「北京語言大学留学パーフェクトガイド」というところがあります。この内容の充実度は素晴らしいので、「藤本大学」では、この内容をフォローするようなカタチで書ければいいなあ、と思っています。

 書いてみて気付いたのですが、語言の紹介といいながら、ほとんど北京生活の紹介のようなカタチになりましたので、北京語言大学に行かない方でも、1つ参考にして頂けますと幸いです。

2007年10月1日 藤 本 一 郎

1 日本国内で考える・やること
出国までの手続きのおさらい

 流れとしては、

(1) 北京語言大学に出願(出願費用75ドル(短期班の場合))
(2) 語言大学より「入学許可証」と「JW202」を入手
(3) これらを添付してビザ(XビザまたはFビザ)を申請・取得する(なお、Xビザの場合は健康診断が必要になるのでビザ申請前に受診する)
(4) 出国

ということになります。出願費用以外の学費は現地に着いてから支払うことになっています。

 この詳細は、前述した「パーフェクトガイド」または北京語言大学のホームページをご覧頂ければと思います。  ところで、出願書類(例えば英語版)に、自分の語学レベルをAからEまでで記載しろ、という場所があります。ここに自分の語学レベルをどう記載するのか、悩むのではないかと思います。

クラス分けを考える

 ただし、ここで記載したランクに従って、クラス分けがあるわけではなく、事前にクラス分け能力試験を受験することになりますので、余り悩みすぎる必要はないです。ただ、このクラス分け能力試験の会場が、ここで記載した能力に従って決まります。あまりかけ離れた能力を記入してしまうと、正確に自分の能力を判定して貰えない可能性があるので注意です。

 以下、短期班のイメージで話をしますが、日本でつい最近中国語をそれなりにちゃんと勉強したことがある(例えば第2外国語として)、でも十分中国人と意思疎通できるという程ではない、という人は、おそらくB班かC班だと思います。したことがあっても、10年前とか、いまはもう簡単な挨拶しかできない、という人はA班でしょう。ここで、A班という一番低い班に行くと、本当に0からになるのではないか、という不安があるかもしれませんが、同じ教材を使うとはいえ、A班の中で更に3つにランク分け(A0、A普通、A+)があるので、大丈夫です。そういう「ちょっとかじったが忘れた」人は大抵A+レベルだと思います(私がそうでした)。

 特に短期の班だと、中国語の習得以外に、国際交流を目的とする人も多いと思います。季節にもよりますが、欧米系の学生と同じ班で勉強したいなら、一般にはA班がオススメです。

 ちなみに私は、後にC班も経験しているのですが、C班以上は、季節にもよりますが、華僑の中国系の方が出現して、「日本人は書くのと読解はいいけど、発音と聴力がねえ・・・」みたいな感じになります(もちろんそうじゃない人もいらっしゃいますが)。メンツがおもろい・おもろくないというのは、一概に言えないことだとは思いますが、多様性という点でいえば、C班はちょっとA班に劣るかもしれません。

住む場所を考える

 住む場所は、まず場所も大事ですが、2人部屋が良いか、1人部屋がいいか、これを決めることが重要だと思います。

 中国の寮は、原則複数人が一緒に住むものです。1人部屋もありますが、語言の寮はいつも人気だからか、それほど1人部屋は多くありません。もし語言の学内で、1人部屋を探したいのであれば、第1に会議中心、第2に第6号楼に聞いてみて下さい。語言の寮はそれぞれ独立して予約管理しているので、直接聞くのが良いです。中国語で聞くのが望ましいですが、英語でも対応できる人がいることがあります。但し、向こうの担当者がいつも繰り返し言うのは「今は先のことは分からない」という台詞です。月末の一定時期になると、翌月の予約を受け付けし始めるというのが、一応の公式の決まりになっているためです。

 ところが、誰か、力がある方は、実際にもっと前から予約を取ることができてしまっています。そういう力を頼るのも、1つの手段かもしれません。

 あ、あと、会議中心は、学習の開始時期に関係なく予約ができますが、正規の寮は、実際に自分が勉強する時期しか原則住めません。空いていたら住ませてくれますけど、授業がある人が優先のようです。

 私は当初会議中心に、後に第6号楼に住みましたが、特に大きな不満はありませんでした。6楼に移ったのは、単に会議中心の当初の予約期間が終わってしまったからです。本当は延長したかったのですが、延長はできませんでした。もし長く行くつもりなら、当初から長期の契約にすることをオススメします。

 2人部屋で、寮も好み(17楼(写真参照)のような新しいところでないとダメ、とか)がないのであれば、大抵どこかは空いていると思います。17楼は人気がありますが、4楼などは比較的空きがあるような気がします。

 外部に住むという場合は、学生用の「裕京大厦」、「裕京公寓」、「京裕賓館」、「留学生世界広場」であれば、1日単位で住めます。ここは学内の寮や会議中心と比べれば、空いている可能性が高いので、早めに現地入りするつもりであったり、どうしても住む場所を確保したいなら、まずあたってみたら良いと思います。

 きちんとしたアパートメントを外部で借りることも勿論可能ですが、普通不動産は1年契約であること等を考えると、短期の語学学生ならオススメできません。

 もし私が再度語言に行くなら、私は1人部屋がいいので、会議中心にまず電話しますね、多分。ダメと言われたら、予約せずに、または、大学そばの西郊賓館を1,2泊だけ予約して、その足で会議中心に行き、予約の交渉をすると思います。それでダメなら、6楼に行って、6楼で全然ないときは17や4も怪しいので、学外の上述のような1日単位で住める学生用マンションを借りるような気がします。

ケータイどうする?

 超短期の留学なら悩まないと思いますが、それなりに長期間になる場合、日本の携帯電話をどうするのか、悩むかも知れません。月額基本料を払うのが馬鹿らしくなるからです。

 とはいえ、解約や休止をすると、いままで使っていた番号が使えなくなるというデメリットがあります。トクに社会人ですと、今までの番号を継続利用するというのはとても大事である場合があります。

 昨年から、携帯会社を変えても番号が変わらないというサービスも開始されましたし、月額基本料を抑えながら日本携帯を維持するのであれば、ソフトバンクのホワイトプラン(月額980円)が一番安くつくかな、という気がします。

2 お金とインターネット
 北京について、最初の一大事は住む場所をどうやって探すかということに尽きますが、同時に、中国元を確保することと、インターネットができる環境を確保することも大事だと思います。この点について少し述べてみます。

インターネット

 北京語言大学の寮や会議中心は、学内で契約することによりADSLが使えるようになります(月額140元)。しかし、これがくせ者で、良く止まるのと、早めに現地入りした場合、学生証(入学手続日に貰えます)がないとADSLの契約ができないので、結局自室のネットは使えない、ということにもなりかねません(なお、未確認情報ですが、学生書がなくてもJW202と入学許可証があれば、ネットの契約ができるという説もあります)。

 そこで、じゃあ、身近にどこでネットができるのか。

 おそらく日本からノートパソコンは持ってきていると思いますので、無線LANが無料で使えるカフェ等を紹介しておこうと思います。

 まず、学内では、第1・第2食堂の2階にある"SAUCE"というカフェ(日本料理「桃屋」の対面)で無線LANが使えます。ここは夜11時までやっていたと思うので、本当に重宝しました。

 学内の他のカフェは無線LANはないですが、会議中心の2階のカフェは、ネットできる施設(有線LAN)を導入したっぽいことをこの夏に聞きました。実際がどうなのかは分かりません。

 学外の五道口方面では、セブンイレブン近くの彫刻時光(北京海淀区成府路華清嘉园12号楼1楼)、ケンタッキーと同じビルの韓国系喫茶店である多楽之日(Tous Les Jours、北京海淀区成府路35号)など多くのカフェでネットができます。学生が多く住む地域だけあって、学外のネット環境は、他国(日本やアメリカ)と比較しても、充実していると思います(但し遅いですが)。

 このほか、図書館等で、有料で、大学のパソコンを使ってネットに接続することもできます。

いざという時のダイアルアップ指南

 そうそう、部屋ですぐにネットをつなぐ別の方法があるのを忘れていました。ダイアルアップです。実際ADSLが良く止まりますし、この方法を知っているのと知らないのとでは、ネット環境に大きな差が出てくると思います。

 まず、必要なものですが、201カードと呼ばれる電話カードです。これは、会議中心の1階の受付(売店ではなくホテルの受付です)や、学内の大きな売店で売っています。主に市内電話をかけるために使う、普通の電話カードです。

 実は中国では、ソネットとかヤフーとかといった会社と契約しなくても、特定の電話番号に電話すれば、ダイアルアップでネットに接続することができるのです。だから、日本で「ローミング」契約とかしてまで中国に行く必要は全くありません。

 こういう電話かけるだけのダイアルアップは、いくつか番号があるそうですが、料金は電話代と一緒に回収されます。100元(約1600円)201カード(但し実際は100元より安く買えます)で、だいたい4、5時間くらいはネットができたのではないかと思います。

 設定方法ですが、電話番号が95963の場合、
ユーザー名 163
パスワード 163
電話番号  2012, 1, カード番号と最後に#, パスワードと最後に#, , , , 95963

 と入力してみて下さい。電話番号内のカード番号とパスワードは201カードに書いてあるやつです(右側写真参照。右側写真のカード番号とパスワードはもう使い切ってしまっていて使えません・・・。

お金(円→元)

 お金がないと、最初の宿泊費も学費も払えません。お金(元)の確保はとても大事です。また、ソンもしたくないものです。

 会議中心の東隣の学内の工商銀行でも日本円から中国元への両替はできます。また、この同じ建物の銀行より少し南側には、工商銀行のATMがあり、このATMでは、日本の新生銀行やシティバンク等「PLUS」マークのついたキャッシュカードから直接元を引き出すことができます。

 円を元に銀行の窓口で替えた方が、ATMから引き出すよりも、レートは良いです(これはATMを使うと手数料分が加算されるためです)。

 このほか、トラベラーズチェックを持っていくという方法もあります。
 確かに、トラベラーズチェックは、現金から元に替えるより、レートは良いです。しかし、発行と、換金に共に手数料を要求され、その合計は購入額の1.75%程度になることが多く、現金との関係では損得なし位になってしまいます。また、一般にドルであれば、シティバンクに口座を持っていると発行手数料無料でトラベラーズチェックを作って貰えるのですが、円のトラベラーズチェックとなると、手数料無料で作ってくれるところはなく、私の場合、みずほ銀行でマイルがたまっていましたので、そのマイルを使ってトラベラーズチェックを作る、というのであれば、多少は安く(しかしマイルはなくなる訳ですが)済むと思います。

 なお、ドルのトラベラーズチェックを作ってしまうと、為替差損が出ると思いますので、お勧めできません。ただ、現実に海外旅行等でドルの現金が手元にあるというのであれば、元とドルの相場は、元と円よりは安定しているので、持っていく意味はあるかもしれません。

 日本円を中国元に両替するのに、一番のお勧めは中国銀行に行くことです。

 中国銀行のレートは、一般に工商銀行より少し良いです。大学の一番近くの中国銀行は、大学の東門(正門)から北に学院路を上がっていって、最初の大きな十字路(清華路と交わるところ)の北東角(スタバもあります)にある中国銀行です。なお、両替は普通平日しかできません。

 ATMで下ろすことは、レートが悪いと分かっていても、ときどきやってしまいます。シティバンクと新生銀行の両方に口座がある場合、新生銀行から下ろすことをお勧めします。両銀行のWebsite等の説明では、シティは3%、新生は4%の手数料を課するということのようなのですが、実際は同じ日にほぼ同時に引き出そうとした場合、いつも新生の方が若干トクでした。他の銀行は、私が比較したことがないので分かりません

 このほか、闇の換金を行っている場所も、実際にあります。
 しかし、私は法律家ですし、こういうのを利用するのはやめました。

3 携帯電話と国際電話
日本の携帯電話をそのまま使う

 電話代高いですが、日本の携帯電話が3G機種である場合は、そのまま使うことができる場合があります。自分の機種を良く確認して下さい。

 日本の携帯電話3社のうち、ドコモとソフトバンクは、中国でのローミングによる電話代が、どんなプランであっても全く同じです。ですので、ソフトバンクのホワイトプランにしてから来ることをお勧めします。

 しかし、日本の携帯電話ですと、ソフトバンクであれドコモであれ、1分間日本にかけると、175円(約11元)、中国国内だと75円(約4.5元)も取られてしまいます。メールは1通100円です。着信でも1分70円必要です(中国移動(China Mobile)の場合。China Unionはもっともっと高いので注意です!)。アメリカよりは安いけど、やっぱり高い!

現地で携帯電話(手機(Shou3ji1)と呼びます)を買う

 プリペイド以外の選択肢もありますが、忘れて下さい。
 プリペイドになると思います。

 一番手軽に選択できるプリペイドは、「神州行」という中国移動(China Mobile)の2G携帯電話です。月額基本料0円で使えます(上海では月額基本料16元で発信時1分0.1元、受信時0円となるプランがあるのですが、北京にはそのような受信時0円となる割引プランは知りません・・・でしたが、後述するように、類似プランあるらしいので、1度チェックしてみて下さい)。但し値段設定は中国の携帯としては高め。

 具体的には、1分間、北京で北京域内に電話をかけた/受けた場合、0.6元(約9.6円)です。高いといっても、日本の携帯電話の7分の1の値段で国内通信が出来るわけです。短信(SMSメール)もほぼそれくらいの値段です(これは日本国内の携帯と比較してもちょっと高いですね、でも日本の携帯を中国に持ってきてSMSメール出すと100円もします・・・))。国内長距離だと、0.6元+1分あたり0.7元必要になります(具体的には北京移動のWebsiteをご覧下さい。)が、それでも日本携帯とは比べものになりません。

 勿論中国携帯電話を買うなら、携帯の本体を買わなければいけません。これを一番安い携帯本体+SIMカード(後述します)=300元で買ったとすれば、75分間の北京域内での電話の発信・受信の合計金額は、345元(約5520円)。中国携帯を買わずに、日本携帯のみで中国国内に75分発信すると5625円(中国移動の回線を使う場合)必要になりますので、要は、滞在中75分以上携帯電話を使うなら、現地携帯を買ってしまった方がトク!と言えるかもしれません。

 更に、現地携帯がないと、現地携帯との間で、短信(SMSメール)が使えない・・・これが結構痛い。中国語で携帯メールを送受信することは、交友関係上でも、中国語勉強の上でもけっこう重要です(但しSMSメールも前述のとおり電話代並の値段がするという欠点もありますが)。

 ということで、中国携帯は、やっぱり持っておくに越したことはないと思います。日本携帯は、使うなら、保険のつもりで持っておく、使わない・しかも番号が変わっても構わないなら、思い切って解約して中国に来ては如何でしょうか。

具体的な買い方

 買うのは、

・機種本体
・SIMカード
・プリペイドカード
の3つです。

 SIMカードは、日本の携帯電話でも、G3世代では導入されている、要するに自分の電話番号が保存されているカードです。これを差し替えれば、中国国内の特定の通話方式に対応したどんな携帯電話でも、自分の番号が使える訳です。中国は縁起を気にするので、縁起の悪い番号(4とかが一杯入っている番号)であれば、80元前後で50元分の通話料とコミコミで買うことができます。家電量販店の他、駅や学内・学校の前の売店のようなところでも売っています。

 機種本体は、様々なメーカーから売られていますが、「神州行」のSIMカードをもし買ったとしたら、GSM900という通信方式に対応した携帯電話を買わなければなりません。これはいわゆるG2世代の方式ですので、高級なG3携帯電話でなければ、大抵はこの方式に対応しています(実は日本のソフトバンク等の国際電話対応のG3携帯電話もこのG2方式に対応しているのですが、例の日本独自の「ナンバーロック」によって、このロックを外さない限りは、使えないようになっています。だから、他国の学生(但し通信方式が異なる米国を除く)は、敢えて中国で携帯本体を買わずにSIMカードだけを買っていることもあります。この場合、彼(彼女)の携帯電話では中国語が読めない可能性もあるので、留学生同士、中国語が読める携帯電話を使っているか、確認しておく方が良いでしょう)。

 携帯本体は、200元台のものから、2000元、3000元を超えるものまで、沢山あります。通話とSMSメールだけであれば、ほぼ全ての携帯電話で可能ですので、安いのでも良いと思いますが、中国人でも、中国メーカーの携帯はあまり信用していないようで、良く壊れるという噂を聞いたことはあります。

 ちなみに、量販店で売っている携帯電話でも、多少値切ることはできます。カルフール等は値切れませんが、店頭販売表示価格は量販店より多少安い気がします。

 プリペイドカードは、「神州行」の場合、13800138000という番号にダイアルして補充します。最初に言語選択(1#:中国語、2#:英語)、次に内容選択(1#と2#、どっちがどっちか忘れましたが、片方が残高照会、片方が金額補充)、金額補充の場合は、補充したい携帯電話からかけている場合は、一度単に#を押して、それから、カード裏面記載のIDとパスワードを入力します。別の携帯に補充したい場合は、その携帯番号を先に入力して#を押し、IDとパスワードを入力します。このカードは大学周囲・大学内の友誼商店等色々なところで売られています。

携帯電話の割引プラン

 「神州行」の北京版にも、受信が無料になる割引プランがあったらしいことを最近知ったので、簡単に紹介します。毎月20元払えば(申込後、自動的にプリペイドの残高が減っていきます)、通常電話代が0.6元→0.25元(1分あたり)、受信時0円になり(但し北京地区にいる時だけ)、短信(SMS)も、0.15元または0.2元(相手会社による)になるのだそうです。詳しくはこちらをご覧下さい。

国際電話について

 寮からかける場合は、前述インターネットのダイアルアップの時に説明した、201カードと、IP国際電話カード(大学近辺や、大学の友誼商店で売っています)の両方を使います。カード同士に相性があるようなので、できるだけ、同じ電話会社のカードを使って下さい。そうじゃないとかけられないことがあります。

 だいたい、100元の国際IPカードが30元前後で買えると思います。このカードで、だいたい30~40分くらい日本と電話することができます。つまり、1分0.8~1元くらいということになります。更に、201カードの電話代も若干ながらかかりますので、合計するともう少し高くなります。

 実は、この値段くらいであれば、日本の固定電話から中国にかけた方が安いかもしれません。クレジットカードがあればネット上の手続だけで使える「VIVAPLUS」の場合、固定電話からであれば、1分9円(携帯からなら1分24円)で中国に電話できます。但し、もしも中国の携帯電話でこの電話を受信してしまうと、受信した携帯電話側にお金がかかりますので、お得度が減ります。寮の部屋には、固定電話がありますので、そこにかけてもらいましょう。

4 相互学習と輔導老師
 とりあえず授業が始まりました。お金やネット、携帯電話の問題はほぼなくなっているでしょう。いよいよ勉強です。

 しかし、授業が進むにつれ、日本人であれば多くが、自身の発音や聴力がちょっと弱いのではないか、という疑問を持つようになるでしょう。

 この問題を修正するには、中国人と多くの時間、1対1で勉強するのが一番良い方法です。ここでは、テキスト内でも紹介があるのですが、相互学習と輔導老師について、説明したいと思います。

相互(Hu4xiang1)学習について

 相互学習とは、北京語言大学など外国語を勉強する大学においては、中国人と外国人が、お互いに同じ時間だけ自国語を教えあう学習方法のことをいいます。一番多いパターンは、日本人と中国人であれば、1時間日本語を日本人が中国人に教え、1時間中国人が日本人に教える、というものです。お互いに教えあうので、免費(無料)ということになっています。対等な関係でやるわけですから、友達にもなりやすいということで、盛んに行われています(異性間ではよく、口説く・口説かれるという話を聞きますが・・・)。

 メリットも多いのですが、デメリットは、日本人が日本語を教えなければいけないということです。語言にいる中国人で日本人と相互学習をしようとする者は、専門として日本語を勉強しており、指導したくても、なかなか難しい内容が含まれていて、うまく教えられないということが多々あります。また、特に社会人留学生にとっては、こちらが日本語を教える時間が無駄に思えるかもしれません。もっといえば、語言で日本語を勉強している中国人はみな日本語が上手なので、いつのまにか、殆ど日本語でトークしていました・・・ということにもなりかねません。従って、友達付き合いの延長という感じで相互学習をするのは良いと思いますが、本格的に自分の弱点を矯正したいと思うのであれば、私は輔導老師を雇うことの方を、よりお勧めします(でも、良い相手のこともあるので、併用しても良いと思います。私は輔導を多くやりましたが、相互学習も少しやっていました)。

輔導(Fu3dao3)老師について

 輔導老師とは、要は家庭教師です。中国人の学生や教師を捕まえてきて、授業のないときに(人によっては授業中であっても)、個別指導で中国語を教えて貰います。

 語言の研究生や教師は、語言のテキストにも慣れている人が多く、授業と同じスタイルで教えて貰うこともできますし、個別に弱点を言えば、それを補強するようなスタイルで教えてくれることもできます。

 それに、輔導ですから、日本語を教える必要がないので、老師も日本語ができる必要がありません。日本語ができない相手であれば、日本語で意思疎通出来ないわけで、中国語か英語に頼る他ない訳ですから、これだけでも、効果的な学習が期待できるでしょう。

 お金を払っての付き合いになりますので、友達等にはなりにくいですが、やはり効果はあることが多いです。但し、余り若い方を雇うと、予定にルーズになったりします。

 もう1つ別の問題を挙げておくと、これは相互学習でも同じ問題があるのですが、夏休みや冬休み中には、学生の大半が回家(帰郷)してしまうので、この間に相互学習の相手や輔導老師を見つけるのはかなり難しいです。但し、逆に他の地域の大学に行っていた北京人が戻ってくるので、そういう人を見つけることができれば良いかもしれません(私は北京にいるときの相互学習の相手の1人が南京大学のそういう学生さんでした)

どうやって相互学習の相手や輔導老師をみつけるか?

 北京語言大学に居るという前提でいえば、主に次の方法があると思います。

(1) 授業で普段習っている先生(などの知り合い)に紹介してもらう
(2) 学内のビラ貼り場(3箇所)で見つける
(3) インターネット(特にThat's BJ)で見つける

 実は私はこのいずれの方法でも相手を見つけたことがあります。
紹介について

 第1の方法は、比較的容易ではないでしょうか。だいたい語言に留学すれば、超短期(4週間)となる一部のクラスを除き、老師(先生)が3人いまして、うち1,2名はとても若い先生になるでしょう。彼らの友達も、同じように語言や他の大学で先生をしています。そういう友達を紹介して貰う訳です。この場合は、相互学習ではなく、輔導老師を紹介して貰うということになると思います。相場は、先生のレベルにもよりますが、1時間30元程度でやって貰えるのではないかと思います(回数等にもよると思いますが)。

 また、先に留学している日本人の友達などに頼めば、その人が知っている中国人を紹介してくれることもあります。こういう友達経由であれば、輔導老師も、相互学習の相手も見つけられるでしょう。学部生の輔導老師であれば、1時間20元でやってくれる筈です。

 こういう「相場」は、2007年の私の北京での感覚ですので、変化するかもしれません。しかし上海よりは大分安いので、北京は、そういう点でも中国語の勉強に適している場所といえるかもしれません。

ビラについて

 ビラを貼ることができる場所は、会議中心の2階のカフェの前、食堂2階のカフェ「SAUCE」の中(写真参照・・・写真中央に見えるドアの左側にビラを貼る場所があります)、友誼商場の前、の3箇所です。私の感覚では、会議中心の前が一番沢山ビラがある気がします。

 やり方は2種類あって、貼ってあるビラの中から、輔導や相互学習の相手を見つけるというやり方と、自ら条件をビラに書いて、貼るというやり方があります。後者の場合、ビラに自分の中国の携帯電話の番号と電子メールアドレスを書いて、連絡を待つというのが一般的です。自分で貼る場合、希望価格も先に書いておいた方が安心かもしれません。プライバシーがない中国のことですから、女性は、ちょっと危険かもしれないので、男性に間に入ってもらうというやり方も検討してみて下さい。

 ビラの中から選ぶ場合、結構語言の学生ではない方が貼っていたりするので、トラブルを避けるためにも、また、定期的に会えるようにするためにも(遠いところから来る人はなかなか定期的に会い辛い)、私は語言の学生であるとちゃんと書いている方の中から選ぶことをお勧めします。

ネットで見つける

 That's BJというサイトは、北京でいたるところで目に付く欧米系フリーペーパー「That's BJ」のネット版です。非常に沢山の外国人が利用しているサイトなので、外国人と交流したい中国人も集まってきます。このサイトの中には、いわゆる「出会い系サイト」ですが、"personals"という区分があり、その中に"Seeking Friends"とか、"Seeking Language Exchange"という細区分があるので、ここに自分の情報を掲載し、または、掲載されている情報から自分にあいそうな人を見つけて、相互学習や輔導の相手を探す、という流れになります。

 ここの利点は、語言に所属しない人であっても見つけることができるということで、私は、ここで、近所の林業大学に所属している方を相互学習の相手として見つけることができました。但し、日本語に興味を持っている人はそれほど多くはないので、ちょっとだけ根気が必要です。もし英語ができるのであれば、それもアピールするとちょっと見つけやすいかもしれません。

5 遊ぶ場所
 授業にも慣れてきたら、沢山友達ができているでしょう。

 中国人と一緒に遊ぶことは、語学を自然に使うための1つの良い方法だと思います。ここでは、語言の学内や周囲を中心に、友達と遊ぶのに良く使うことができる場所を少し紹介したいと思います。

学内もなかなかすごい

 語言の学内には、第1・第2食堂の裏に、バー「BlablaBar」が、体育館の横に、日本語の歌も豊富なカラオケ屋があります。

 「BlablaBar」は、欧米人を中心に人気のあるバーで、ジントニックが10元で飲めるという安さも魅力です。混む時間帯も、アメリカのバーと同じように、遅い時間帯になります。ちょっと遊ぶのにはとても良い場所です(店内の写真で良いのがなかったので、看板を載せて見ました。場所分かりにくいので・・・。第二食堂の入口の南側にこんな看板がありまして、その看板の矢印の奥へ歩いていくと、あります)。

 学内のカラオケ屋は、附近のカラオケの中では日本語がもっとも豊富です。外国人とカラオケに行って日本語の歌ばかり歌うと引かれますので、日本人同士で行くなら非常に良い場所といえるかもしれません。

 その外、テニスコート、プール等、運動をするのにも充実した施設があります(但し有料です)。

五道口ならここが良い!

 語言の西側一帯を「五道口」と呼びますが、なかなか楽しい場所が一杯です。

 まず、語言大学の西門を出てすぐ北側にまっすぐ行ったところにある「西郊賓館」ですが、ここはホテルなのですが、娯楽施設も充実しており、中でも、ボーリングは嬉しい施設ではないでしょうか。残念ながら私は北京滞在中、ここでボーリングをする機会がなかったので、是非次は行きたいです。時間帯で値段が違ったと思いますが、確か午前中と深夜であれば1ゲーム1人10元くらいだったように記憶しています。

 お酒を五道口まで出かけて飲むなら、ブラブラバーにはない何かを持っている場所が良いでしょう。私の第一のお勧めは、その西郊賓館の正門を出てすぐ右(北)側に並ぶ韓国人街の中の1つ「Pepper」というバーです(だいたい毎日8時ころ開店)。ここは、カクテルが充実していて、ジントニックは1杯20元ですが、ブラブラバーのジントニックと比較すると、より「日本で飲んでいたジントニック」を味わえます。店の雰囲気もかなりオシャレ。そして、毎日午後10時30分からやっているカクテルショー(表演)もなかなかのもの(右側の写真・・・訳わかりませんが、2人の店員が表演中です・・・)。上手な人がやるときと、そうじゃない人がやるときとがあるのですが、上手な人がやるときは特に迫力があります。それに、周囲は韓国人が多いので、誰と行っても落ち着いて話せるというのも魅力です。

 次に、日本人とゆっくり日本的な飲み方をしたい、というのであれば、「BARSHIPS」という日系バーもお勧めします。若干値段が高い(ジントニックは確か1杯30元だったと思います)気もしますが、日本語のカクテルの本とか何冊か置いてあったりして、おもしろいです。場所も、マクドナルドがあるビル(華清嘉園)の12階で、しかも看板とかもないので、ちょっと隠れ家に行くような気分になります。

 バーではないのですが、お昼の食べ放題といえば、もう誰もが知っている「Tafi」を忘れてはいけないでしょう。スーパーLOTUSの裏です。イタリアンですが、老板は日本人の方。実は老板も元語言の学生で起業されたとか。日本で食べたイタリアンがそこにあります。お昼は29元で食べ放題、34元でソフトドリンク飲み放題もつきます。ああ、食べたい・・・(上海でこの値段と質の食べ放題を見たことがないので・・・)。

おわりに
 北京語言大学の学費は、他の中国の大学の学費と比べても高いのですが、生活費全体で考えると、少なくとも上海との比較では安く暮らせるような気がします。そして周囲に清華大学や北京大学など、沢山の大学があることから、五道口という街全体が学生にとって暮らしやすいように出来ていると思います。総合的に考えて、初めて中国に留学する人から、渡航留学慣れしている人まで、語言は幅広くお勧めできる大学ではないかと思い、本稿を書いてみた次第です。
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